Vol.211
あみぐるみ作家
高橋 ひろみ さん
HIROMI TAKAHASHI
たかはし ひろみ ● 1971年いわき市生まれ。高校卒業後、市内の縫製会社に入社。25歳で結婚、2000年よりあみぐるみを始め、2001年からホームページでの販売を始める。2003年より「ami-ten」をスタートし、今年2月で4回目を迎える。2004年ハマナカ主催の「あみぐるみcollection」で優秀賞を受賞。現在2児の母。
【みっくすさんどHP】 http://mixsand.milkcafe.to/

→このぐらいの大きさ(12cm程度)のあみぐるみであれば、3〜4時間で完成できるという高橋さん。「これからも自分が欲しいものを作りたいです。義務で作ると“いい仔”ができないんです」と話してくれた



主婦とあみぐるみ作家を両立し
「ami-ten」を主催をして4年目
手作りの良さを伝えたい

  ふわふわとした毛糸で作られた愛らしい人形たち…それが「あみぐるみ」。全国のオンラインショップのオーナーが集まって作品を展示・販売するイベント『ami-ten』が、今年もいわきで行われる。
その準備に追われる主催者の高橋ひろみさんに、お話を伺った。

母から学んだ毛糸編み
そしてあみぐるみとの出会い

 
毎年冬の季節になると、母が毛糸を編む姿を見て育った高橋さん。小学校の頃から手先が器用でフェルトのマスコットなどを作っていた。手芸クラブにも所属し、5年生の時に初めてマフラーを編んだ。「将来の夢は保母さんになること」そんな普通の少女にとって編み物はいつも生活の中にあり「興味の中の通り道」だったのだろう。
 高校を卒業後、資材管理の事務員として縫製会社に就職。カシミア系のコートを主に作っていた会社で、手縫いで仕上げる作業が多かった。業務の合間を縫って現場を手伝い、手作りの楽しさを改めて実感したという。25歳で結婚し、すぐに長男が生まれた。子育てに追われ、しばらく針を手にすることから遠のいてい
たそんなある日、手芸店であみぐる
みのキットと出会う。わくわくしながら作った鳥のマスコットは程なく完成した。これをきっかけに、あみぐるみの魅力にひかれ、ノウハウ本を購入。子供が寝ている時に創作をし、作品はどんどん増えていった。「初めは毛糸の裏表を逆にして作ってしまったり、目のつけ方がうまくいかなかったりと、失敗もありました。でも、顔があるせいか、自分の作ったものはどんなものでもかわいいんですよね」

10人の作家を集めて
開催した展示会

 当時、子供の成長をコンテンツのメインとしたホームページ『みっくすさんど』を主宰していたが、趣味のページにあみぐるみの作品を掲載
するうち「販売しないのですか?」
というメールが多数届くようになった。他人の考案した編み図を手本に
作っていた物では売れないため、オリジナルを作って販売するようになった。やがてネットを通じてあみぐるみ仲間も増え、東京や大阪など各地で開催される展示販売会にも出品するようになった。「展示会終了後にお金が精算されて、売れ残った物だけが戻ってくるんです。誰かのレポート写真だけを見ても、何かつまらなくて…」そんな時、雑貨店の店頭で『あなたの手作り品を委託販売します』という張り紙を見つけた。レンタルスペースの募集だった。ここであみぐるみを売ってみたい!早速店に相談してみると…。「2週間の会期中は、ギャラリーに空きが出ないように作品はいつもいっぱいにしておいて欲しい」との返答。「自分ひとりでは無理。それなら仲間と一緒に」と参加者を募集し、10人の作家からスタートした。展示会のタイトルも「10人(ten)」と「展」をかけて『ami-ten』とした。不安の中始まった初日、商品は飛ぶように売れ、3〜4日で半分ぐらいになってしまった。2回、3回と売り上げも参加者も増え、今年行われる4回目では23名の作家を予定している。

なるべく触って欲しい
そんな想いをこめて 

 
現在『ami-ten』の準備に追われる高橋さん。たくさんの作家とのやりとりは全てメールなので、事務的な連絡や返答メールを迅速に返すために一日中パソコンに向かっていることも。その他DMハガキを作ったり、店との打ち合わせに行ったりと、それらを一人でこなしている。「家事の合間等、限られた時間の中で動かなければならないのですが、自分のペースでやれるのでとても楽なんです」と作業のひとつひとつを楽しんでいる様子。
 インターネットの世界では「ひろ」のハンドルネームで活動を行っている高橋さん。彼女の作るあみぐるみは顔が大きく、ふわふわしていて、ちょこんと座ってるものが多い。そして、あえて服を着せていない。「できるだけ触ってかわいがって欲しいんです。そうなると服がじゃまでしょう?そのためになるべくふわふわの毛糸を選んでいます。」高橋さんは目を最後につけるという。目をつけた瞬間、表情が出て、あみぐるみに息が吹き込まれる。「自分の教室を持つ」という目標に向けて、2006年も手作りの輪を広げていって欲しい。(曽我)

制作中のひろみさん


頭が大きくてふわふわが特徴の高橋さんの作品。あみぐるみの制作やイベント開催ができるのも、ご主人の理解があってこそ




昨年2月に行われた『ami-ten』の会場。売れ残った作品は会場で撮影し、会期終了後ホームページで販売するそう


2004年7月に出版された本「あみぐるみcollection vol.3」で優秀賞に選ばれた作品。一次審査に95作品が選ばれ、二次で15作品の中に選ばれた。編み図と共に掲載された思い出のくまちゃん


23人の作家が参加する
『ami-ten vol.4』が、2月10日(金)〜23日(木)開催された。会場は鹿島S・C エブリア2F 
〈レスパス 丸ほん店内〉にて。



■バックナンバー
2004年6月号 いわきマジシャンズクラブ/鈴木清友さん
2004年7月号 明道賛家 コーヒー道師範/神場 明久さん
2004年10月号 川島工房/川島 力 さん
2004年11月号 いわき食介護研究会
2004年12月号 気鋭の料理人たち
2005年1月号 百席の会/古川隆 さん
2005年2月号 エディター/渡部サトさん
2005年3月号 朝日サリー発行人 /曽我泉美(前編)
2005年4月号 朝日サリー発行人 /曽我泉美(後編)
2005年5月号 ほろすけの会/「三人家族」
2005年6月号 JKC公認A級ハンドラー/長岡 裕子
2005年7月号 ジャズシンガー/本田 みどり
2005年8月号 四季のハーブを楽しむ会/カモミール
2005年9月号 オペラ歌手/鈴木幸江さん
2005年10月号 いわき街なかコンサートに携わる人々
2005年11月号 歌手・クラブ経営/箱崎幸子さん
2005年12月号 (有)エルイーオー「L倶楽部」代表/石川 淳子
2006年1月号 幼稚園園長・絵本美術館創設者/巻レイ

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