Vol.208

(有)エルイーオー「L倶楽部」代表
石川 淳子
JUNKO ISHIKAWA
いしかわ じゅんこ●いわき市生まれ。高校卒業後、宮城職業訓練短期大学校で建築を学ぶ。設計事務所を経て、地元デベロッパーに就職。31才の時、退職しフリーに。専門学校の非常勤講師なども務める傍ら、平成13年11月〈エルイーオー〉設立。平成14年6月〈L倶楽部〉設立。二級建築士・インテリアコーディネーター。2児の母でもある。



写真左/ワインアドバイザー三枝康志さんを迎えたワインセミナーの模様
写真右/ミニバスツアーでは初秋の会津巡りを。歴史・食・文化をテーマに


L倶楽部・L-Styleのホームページは
こちらから 
http://leo.jp


建築・設計のプランナーというもう一つの顔も持つ。キッチンの壁厚を利用した洗剤置きのスペースなど女性の視点ならではの提案に定評がある

専門学校の非常勤講師として設計プランニングの基本を教えている。生徒たちと


「アルパイン ドライビン サウンズ(提供:アルパイン)」のWebサイト。企画・制作は(有)クルーズプランニングとコラボレーションしている
http://leo.jp/lclub/drivingsounds/

女性が楽しいセミナー
きっかけづくりが、やがて
コミュニティになって

  「L倶楽部」。耳にしたことがある人も多いはずだ。2002年に始まった女性のためのブラッシュアップセミナーで、ほぼ毎月、毎回一つのテーマを決めてプロを招く。
 例えば、「カラーセラピー」「コミュニケーション術」「ピラティス」「インテリアコーディネート」など、自分のライフスタイルにちょっと取りいれたいエッセンス的なセミナーである。1DAYセミナーだが、自身のきっかけづくりや新しい人間関係も生まれる。
主催者の石川淳子さんにお話を伺った。

女性が知りたいことが
最大のテーマ
 
今でこそ、結婚を機に退職、家庭で専業主婦という女性は少なくなってきたが、女性を取り巻く生活環境は日々変化している。「何かしたいのに機会がない」「家事と育児、介護で自分の時間がない」「仕事が忙しい」一方で、仕事を持たない女性の中にも、多くの企業で必要としているスキルを身につけながら、結婚を機に、それが埋もれてしまっている女性たちも少なくない。女性たちのパワーやネットワーク生かしたら、
何かおもしろいことができるのではないだろうか。「L倶楽部」の立ち上げはそんなところからだった。
 現在、インターネットサイトの運営、「女性が知りたいこと」をテーマにその道のプロフェッショナルを招いてのセミナーを開催している。セミナーというと講師からの一方的なレクチャーが多く、敬遠されがちだが、「L倶楽部」のセミナーはひと味違う。
「実際に体験してみて、楽しさを感じてもらい、自分の中に眠っていた新しい発見や何かをはじめるきっかけづくりをしてもらいたいんですね」
 石川さんが招いたプロフェッショナルも40人を超え、セミナーもこの3年間で38回を数えた。


母は強し。逆境の中に
見いだした一筋の光
 
石川さんが高校卒業と同時に進んだのが「建築」という分野だった。地元建築デベロッパーに入社し、二級建築士の資格を取得。設計、デザインなど実務に携わりながら建築について学んだという。「現場に行くと、はじめはどうしても『ネェチャン』という見方があって…。でも職人さんたちと焚き火にあたりながら現場の厳しさも学びましたね」
 バブルの全盛期にはそれこそ「億」という単位の仕事の経験もした。31才で退職。フリーで設計、デザインの仕事をする決意をした。仕事をしながら好きな旅行に出かけ、平穏な日々を過ごしていたが、40才のときにその転機は訪れる。トラブルに巻き込まれ、幼い2人の娘さんを抱え、着のみ着のまま実家に戻った。「すべてがゼロになりました。でもなぜか、そのとき子どもと一緒にパソコンだけは小脇に抱えていたんです(笑)」
女性が子ども2人を抱えて生きていくことは相当の覚悟が必要。
 そんなとき、インターネットでふと目にしたのが「第1回いわきビジネスプランコンテスト」の情報。申込み締切は数日後に迫っていた。その時、石川さんは出口の無いトンネルにいたが「なにかできそうだ!」と一筋の光が見えたという。かねてから考えていた女性のスキルを生かしたSOHO事業、教育事業(セミナー)の原案をまとめ、プレゼンテーションをした。結果、最優秀賞を獲得し、〈いわきリエゾンオフィス企業協同組合〉内に事務所を構えるという副賞も得て、彼女に大きなビジネスチャンスがやってきた。


動画コンテンツで
いわきを配信したい
 
現在〈エルイーオー〉のスタッフは郡山、白河、いわきに住む女性7名。会社に出勤するかたちではなく、デザイン、web、営業をそれぞれ個々にこなしていくアウトソーシングのスタイルをとる。スタッフとの出会いもおもしろい。セミナーの隣の席だった人、会合のときにたまたま隣で意気投合した人など。
「私はそんな偶然の出会いが多いんですよ。セミナーに参加される方とも一つの出会いですし、そのような出会いを大切にしたいんです」
 今回、セミナー参加者が縁で一つ新しいことが始動した。SEA WAVE FMいわき「アルパインドライビンサウンズ(毎週土曜日、午後7時30分から放送中)」。「L倶楽部」の会員が取材する女性のための生活応援情報サイト「L-Style」とのタイアップ企画だ。
「L-Style」は、いわき市と近郊のグルメやイベントなどイチオシ情報を配信しているが、それが番組内でも曲とストーリーに絡めて紹介される。ラジオとネットのコラボレーションが具現化されたのだ。
「今後これに動画をつけて『いわき』を全国にPRしたいと考えています」
夢は大きく膨らんだ。
 セミナー参加者にとっても、スタッフにとっても、子どもたちにとっても彼女は「自分のライフスタイルを自分で創る」いい見本になっているに違いない。(高木)



■バックナンバー
2004年6月号 いわきマジシャンズクラブ/鈴木清友さん
2004年7月号 明道賛家 コーヒー道師範/神場 明久さん
2004年10月号 川島工房/川島 力 さん
2004年11月号 いわき食介護研究会
2004年12月号 気鋭の料理人たち
2005年1月号 百席の会/古川隆 さん
2005年2月号 エディター/渡部サトさん
2005年3月号 朝日サリー発行人 /曽我泉美(前編)
2005年4月号 朝日サリー発行人 /曽我泉美(後編)
2005年5月号 ほろすけの会/「三人家族」
2005年6月号 JKC公認A級ハンドラー/長岡 裕子
2005年7月号 ジャズシンガー/本田 みどり
2005年8月号 四季のハーブを楽しむ会/カモミール
2005年9月号 オペラ歌手/鈴木幸江さん
2005年10月号 いわき街なかコンサートに携わる人々
2005年11月号 歌手・クラブ経営/箱崎幸子さん

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