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小紋の生地を生かしたスモッグ風のブラウス。
デザイン中のサトさん。思いつくまま描いたデザインが実際作品になっているそう
}和布素材のグラニーバッグ。フリルがかわいらしい作品
}ファーと着物地の斬新な組み合わせリュック。異素材同士が楽しく、かといって奇抜でもない。これも「サト流」デザイン
これまでに発行した主な著者本。
●「きものリフォームnewスタイルブック」/永岡書店 1,200円 ●「直線縫いでざくざくできるスカート」/河出書房新社 1,200円 ●「古裂のバッグ」/河出書房新社 1,400円 ●「ウエストゴムの形いろいろキレイめスカート」/河出書房新社 1,200円
※有名書店で取扱中
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あくまで手作り派
イワキジェンヌ・
渡部サトさんの創る世界
「古裂」と書いて「こぎれ」と呼ぶ。いわゆる古い布、和布のはし切れを指す言葉である。そんな古裂を使って洋服やバッグをデザイン。著書も次々に出版しているのがいわき市出身、東京在住の渡部サトさんだ。「シンプルでいて個性が光る」彼女のデザインのインスピレーションはどこからくるのかお話を伺った。
着たいものをかたちにそれがデザイン信条
タンスに眠っている着物を捨てるのではなく、ほどいて洋服や小物にしたり、バッグに作り替えたりする着物のリフォーム術が最近、話題を集めている。書店でも関連本を多く見かけるようになった。
渡部サトさんも、そんなリフォームの著書を手がけ、デザイナーとして活躍しているひとりだ。つむぎ、ちりめん、小紋、紗など素材もさることながら、着物地の魅力は、その絵柄にあると彼女は語る。大胆な絵柄の男物の羽裏でさえ、彼女の手にかかれば小粋なワンピースに変わっ
てしまう。遊べる柄は隠さずにあえて出していくのだ。
「着物を新しいデザインに変えることはとても楽しいですね。でも私はあえて1枚のテキスタイル(布地)として捉え、自由な発想でデザインをしています」
彼女の本を開けば、その自由な発想が何なのかわかる。着物地にスエードが斬新なバッグ、ファーと和布のリュックサック、小紋のスモッグ風のブラウス、10枚はぎのスカートなど…。シンプルでありながらそれでいて、ちょっと凝っている。
「この色、素材ならこれ!ボタンはここに、レース、ビーズ、ベルト…自分が着たいもの、持ちたいものをと形にするだけ。作品の多くはひらめきによるものかもしれませんね」
手作りの師匠は祖母のサトさん
渡部サト。実は彼女の本名ではない。著者として本を初めて発行した時、デザイナー名として祖母の名前からとったものだそうだ。
子どもの頃から病弱だった彼女は学校の他は家にいることも多く、祖母のサトさんと過ごしながらいろいろなことを学んだ。アイロン掛けやハンカチの干し方、手芸や洋裁の基礎もこの頃には身に付いていた。家庭科の授業では彼女の玉止めが見本になったほどだ。
「思えば、祖母が私の手作りの師匠ですね。初の作品は、小学校低学年の時に作った、花模様の手縫いのポーチでした」
高校卒業後、彼女は服飾系の短大に進み、服飾美術を学ぶ。
「プレスを目指していました。専門知識を身につけるために短大卒業後に専門学校へ通い、編集委員を任されたことから編集の世界に興味を持ったんです」
その後、編集プロダクションに就職し、インテリア・料理・手芸などさまざまな分野の編集に携わってきた。28歳でフリーランスになり、翌年、自ら企画したカフェの本が出版されることになった。
「自分の考えたことが形になる…これが私のやりたかったことだ!」
そして2年後、いよいよデザイナーとしてデビューし、初の著書を出版。活動の幅は大きく広がった。
編集者としてデザイナーとして
現在、編集を同時に何本か抱える忙しい毎日を過ごしている。1冊の本を仕上げるまで、企画から編集、レイアウト、スタイリングなどサトさんが休むヒマはない。「仕事イコール趣味。普通4〜5カ月かかる本を2カ月で仕上げたこともありましたよ(笑)」
3月に発行する型紙つきスカートの本で、著作は5冊目を数える。本のプロフィールに目が止まった。自らを『イワキジェンヌ』と紹介している。
そんな故郷を愛する彼女が、この地で初めての作品展を開くことになった。彼女が今までに作ってきた作品180点以上の中から100点ほどを出展。どれ一つとして同じものはそこにはない。
安価の既製品が大量に生産される今、個性という点で服装は画一化されているように感じる。古き伝統を取り入れて、新しいスタイルを創り出す…まさに温故知新。
祖母のサトさんから譲り受けたものは、名前だけではない何かであると信じている。(高木) |
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