ぷるぷる感がたまらない大人のパフェ
手作りがあふれる店内で変わらぬ味を提供 |
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■銀座通りで開店自転車店から喫茶店へ |
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平の高台にある住宅地。細い路地を入ると深緑に白文字の看板が迎えてくれる。扉を開けると一面の窓が庭園を映し出し、3匹の犬たちが元気よく走り回っていた。「わんちゃんたちはみんな捨て犬だったの。彼らに会うのが目的でくるお客さんもいますよ」と話してくれたのが村田佳子さん。創業者・石崎元彦さんの長女で、今は8カ月のお子さんの母でありながら、毎日店に立っている。
〈Avanti〉は、サイクルショップとして1976年、平銀座通りに開店した。オーダーメイドで自転車を作り、修理も行っていたため、毎日高校生が通っていた。奥様の弘子さんは隣接する〈イシザキフルーツ〉に勤務しており、育ち盛りの彼らにカレーを作ってもてなした。その一方で、食べ歩きが趣味の元彦さんはフルーツ店の利点を生かし、果物をメニューに取り入れた店をやってみたいという気持ちが大きくなり、1986年に喫茶店にリニューアル。トーストやスパゲティなどスタンダードなメニューが中心の10坪弱の店で、だった。ある日、家庭用のアイスクリーム機でジェラートを作ると、すこぶる好評で「これは本格的にやる価値はある」と確信。東京や横浜のショップを食べ歩きし、1990年に1階はジェラートショップ、2階を喫茶店にしてオープンした。本格的に機械を導入し、15種類ほどのジェラートを毎日作った。フルーツのジェラートは、オレンジ、レモン、イチゴなどの定番の他、季節によって登場する商品があった。種に見せかけてチョコチップをトッピングしたスイカ。時にはお客さんに「種が入ってるよ」などと言われた忘れられない一品だ。
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↑住宅地の中にあり、以前から変わらないトレードマークの看板が目印 |
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↑アンティークなインテリアと手作りのものたちに囲まれたほっとする店内 |
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■駅ビルに移転し多くの人が訪れる店に |
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その後、駅ビル〈ヤンヤン〉への出店が決まり、1994年に喫茶は移した。当初は2店舗で営業する予定だったが、仕込みが間に合わないため、〈ヤンヤン〉だけに絞った。この時から店長を佳子さんが務めるようになった。カウンター10席、4人掛けのテーブルが4席。以前より広くなり、パスタやデザートなどのメニューも増やした。厨房が狭かったため、ジェラートや料理の仕込みは自宅で両親が行った。女性スタッフばかりの店は居心地も良く、学生からお年寄りまで幅広い層のお客が訪れた。
「短大卒業後、就職活動もしないで、すぐに店を手伝いましたが、それは自分の意志でした。お客さんと接するのが楽しく、もっと本腰を入れてやろうと思ったのです。
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↑晶ちゃんと佳子さん。厨房の隅でおとなしくしているママ思いの女の子 |
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■自宅を改装した店変わらない味が人気 |
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駅ビルでは8年間営業し、「そろそろ郊外でのんびりとやりたい」と家族のみんなが考えるようになった。そこで平にある自宅を改造し、庭を眺めながらゆっくりと食事ができる店として2003年に移転。木の温かみを生かし、手作りの作品を展示する店内にした。中には祖父による木工品があり、特にパズルは子供たちに人気。また、トールペイントや絵画や写真にも心がなごむ。
以前学生だった子も結婚して、子連れで来店するため、絵本やおもちゃも用意。「お客さんから子育てについて教えてもらったり、子供服のお下がりをいただいたりして本当に助かっています」と佳子さん。そしていつ来てもお気に入りが食べられるよう、人気メニューは変えずに残している。その中の一つが「オレンジのプルプルパフェ」だ。生クリームをあまり使わず、甘さ控えめ。新鮮なオレンジをたっぷりと使ったぷるぷるのオレンジゼリーの間にアイスミルクがサンドされ、3層になっている。爽やかなオレンジの酸味とあっさりとしたミルクとの相性も抜群。他にもパフェは、ケーキをパフェに仕立てた「ティラミス(600円)」や定番人気の「チョコバナナ(600円)」などがある。パスタ、カレーなど食事メニューも豊富で、近々ハンバーグも仲間入りする。「オーナーが研究熱心でまるで理科の実験のように配合や調理時間などこだわり抜いて試作しています。」常に安定した味でおいしいものを提供する姿勢が感じられた。
Avantiとはイタリア語で「お入りなさい」という意味。扉の向こうには誰もが温かい気持ちになれる空間が待っている。 |
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↑日替わりランチも人気。「オムライスのワンプレートセット(1,000円)」 |
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