フルーツ店が作るフレッシュタルト
家族の協力から生まれる新鮮な一品
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■フルーツ店だからできる売り切れ必須のタルト |
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内側にはバターの風味たっぷりのアマンドクリームを敷き詰めたサクサクのタルト地。その上にはフレッシュフルーツを載せ、アプリコットジャムでコーティング。桃、巨峰、マンゴー、洋梨、ブルーベリーなどその種類も豊富だ。タルトとして使用するフルーツは完熟したものでないとタルト地に甘さが負けてしまう。〈せきね菓子舗〉では店内でフルーツを販売しているので、まさにタルトに適したものをチョイスして、すぐに商品にすることができる。しかも、フレッシュなものを味わっていただきたいと、一度にたくさんの個数を作らないので、売り切れ必至。現在は二代目ご主人の関根広幸さんと奥様の香さんが菓子づくりを担当し、夫婦二人三脚で様々なスイーツを作りだしている。「今
はパティシエという職業も確立され、詳細なレシピもあり、数字と時間の菓子づくりが中心です。私たちの時代にも配合程度のレシピはありましたが、季節や湿度などの変化で微妙に変わってしまうので、最終的には感覚的な部分によるところが大きいです」と香さんが話してくれた。 |
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↑店内にはケーキの他、焼き菓子や贈答用の詰め合わせなどスイーツと、色とりどりの旬のフルーツが並ぶ |
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■二代目ご主人からバリエーション豊富に |
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〈せきね菓子舗〉は初代関根明男さんが昭和35年に現在の場所に開業。まだ小名浜臨海鉄道(現在の福島臨海鉄道)が泉〜江名間の物資の輸送と共に旅客運転も行っていた時で、泉駅前はとても栄えていた。当時は大福やどら焼きなどの和菓子と、主にスポンジを使ったショートケーキやチョコレートケーキなどの洋菓子とパンの製造販売を行っていた。現在でもロングラン商品となっているのが「ボ
ストン」という丸いパイ。その後、フルーツを中央卸売市場から直接仕入れるようになり、菓子製造などに使う他、店内での販売を行うようになった。現在は隣の店舗で明男さんが野菜を販売している。
二代目の広幸さんは高校卒業後上京し、菓子専門学校に進み、都内の洋菓子店に勤務。13年前にUターンし、店を継いだ。「長男だから将来家を継ぐことを当たり前だと思っていました。それにお菓子づくりも好きでしたし、『おいしいね』とお客さんに言っていただけるのが何より嬉しいです。」 |
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↑二代目主人の関根広幸さん(45歳)。休日は釣りやキャンプに出掛けるというアウトドア派
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■焼き菓子、プリン、あめ…アイディアは広がる |
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毎朝6時過ぎから作業は始まる。ケーキは約20種類、その他パウンドやクッキーなどの焼き菓子などとにかく多岐に渡る商品を2人で作らなければならない。特にスティックの焼き菓子はメロン、バナナ、かぼちゃ、抹茶かのこ、青梅、ジンジャーなど32種類あり、パッケージもおしゃれなので、贈答用として人気がある。そして、プリンがおすすめ。「みつばちぷりん(180円)」はアカシアの花の蜜を使った、はちみつの甘さだけで作ったプリン。地名にちなんだ「いずみ半熟ぷりん(150円)」は低温でじっくり焼き上げるためとても濃厚な味わい。プレーン、ごま、キャラメルなどの種類がある。余分なものを使わず、新鮮な自然のものだけを使っているので、体にも優しい。 その他、9月中旬までの季節限定品としてフルーツのゼリーやムースも人気が高い。オレンジやグレープは圧縮すると皮の苦みが出てしまうため、身だけをていねいに絞る。常に4種類程度の商品があるが、特にブラッドオレンジやグレープフルーツがおすすめ。
「人気のスイーツは実際に自分の足で訪ね、舌で味わうために東京などで食べ歩きしています。ケーキのデコレーションの参考にするために、女性のファッション誌はよく見ますね。色使いの勉強になるんです」とご主人。最近では手作りアメなども始めるなど、思いついたアイディアはすぐに商品化する行動派。次はどんなスイーツが店頭を彩るのか、期待がふくらむ。 |
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↑フルーツいっぱいのデコレーションケーキも人気。5号2,500円、6号3,000円。前日までの予約が必要 |
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↑手前がいずみ半熟プリンのプレーン、ごまとみつばちぷりん。奥がブラッドオレンジゼリーとコーヒーゼリー |
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